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令和6年度施政方針

更新日:2024年3月4日更新 印刷ページ表示

1.はじめに

令和6年第1回長柄町議会定例会の開会にあたり、令和6年度予算案をはじめ、関係諸議案の審議をお願いするにあたりまして、私の町政運営に関する所信の一端を申し上げ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 まず、本年1月1日に発生した能登半島地震では、最大震度7の激しい揺れと津波が北陸地方を襲い、甚大な被害をもたらしました。この地震により犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、今なお厳しい避難生活を余儀なくされている多くの被災者の皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。

三方を海に囲まれたここ房総半島に住む私たちは、この震災を決して他人事ではなく「自分ごと化」し、いつ発生するかわからない災害から町民の皆様の生命と財産を守るため、適時・的確な災害対応の必要性を改めて痛感したところであり、本町においても、その備えを怠らぬよう、しっかりと取り組んでまいる所存であります。

 さて、世界に目を向けてみますと、昨年10月に始まったイスラエル軍とパレスチナ・ガザ地区を実効支配するハマスとの軍事衝突のほか、ロシアの侵攻開始から2年が経過したウクライナ情勢など、世界各地に広がる戦火と、出口の見えない人道危機に、多くの方々が胸を痛めていることと思います。

 これに加えて、地球規模で進む気候変動は、我が国においても猛暑や集中豪雨等の異常気象をもたらし、大規模な風水害のリスクが高まるとともに、農作物の不作などが懸念されています。

これらの、ウクライナ情勢や気候変動等を背景とした、エネルギー価格の高騰や物価高は、恒常的に社会経済を圧迫し、町民の日常生活や事業者の経営活動等に多大な影響を与えた年であったと痛感しているところです。

その一方で、明るいニュースもありました。WBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)では、我が長柄町にゆかりのある「近藤健介選手」が中心選手として大活躍し、侍ジャパンが3大会ぶりの世界一に輝き、私たちに勇気と感動を与えてくれました。

その後、メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が、2回目のMVPを満票で獲得。そして日本全国の小学校に送られた「大谷グローブ」は、本年1月に我が長柄町の小学校にも届きました。

「夢の実現」に向かって着実に前進する大谷選手は、その後ろ姿で「夢を抱くこと、目標を持つことの大切さ」を子どもたちに教えてくれているのだと感動を新たにいたしました。

また、我々の生活を一変させた新型コロナウイルス感染症は、5月から法令上の位置づけが季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げられ、街中(まちなか)からアクリル板やパーテーションが姿を消すなど、これまでの制限が緩和され、コロナ禍前の日常を取り戻しつつあります。

本町におきましても、恒例のイベントである「農林商工まつり」や「文化祭」のほか「第60回町一周駅伝大会」も5年ぶりに開催されるなど、町民の笑顔に触れる機会が増えたことを、心から喜ばしく思う次第です。

そして、8月には長柄町議会議員選挙が行われ、新たな顔ぶれの議会議員の皆様をお迎えして、まちの将来像「水と緑と笑顔が輝くヒューマンリゾートながら」の実現に向けて、叱咤激励をいただきながら前進を続けてまいりました。

令和7年には、記念すべき「町政施行70周年」を迎えることから、更に20年、30年先の長柄町の持続的な発展に向けて、町民の皆様とともに新しい一歩を踏み出すための記念事業の実施に向けた準備にも着手してまいります。

69年目の本年も、町民の皆さまが「長柄町の変化」を実感できるまちづくりを、一意専心、全力で進めてまいります。

2.令和6年度の当初予算(案)

それでは、令和6年度予算案について申し上げます。

まず、国においては、昨年11月に「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定しました。この中で、長く続いたデフレからの完全脱却を「明日は、今日よりよくなる日本」を実現していくための最大の課題として捉え、賃上げや投資が伸びる拡大好循環を実現することを目指すとしております。

また、賃金上昇が物価高騰に追いついていない状況を踏まえ、国民に支援を行うことで、不安定な足元を固め、物価高から生活を守るとしています。

本町においても、こうした国の考えと歩調を合わせ、令和5年度補正予算において、物価高騰に対する全町民への支援策として地域応援券の配布を講じてきたところであり、令和6年度においても、時期を捉えて支援できるよう準備をしてまいります。

また、物価高騰の影響を受けている子育て世代への支援として、こども園及び小中学校における給食費の無償化を継続実施するとともに、子育て支援金事業も引き続き行ってまいります。

これらのことを踏まえ、昨年末に3か年実施計画を策定し、令和6年度についても、物価高騰の影響などを受け、一般行政経費が大きく増加する中、町民の皆さんへの負担を最小限にとどめるため、基金の活用等により、先行き不透明なこの状況を乗り超える予算といたしました。

 

予算の詳細につきましては、予算審議の際にご説明をさせていただきますが、予算規模といたしましては、庁舎空調設備更新事業などの関係から、全体として増額となっております。

一般会計      42億 700万円

特別会計・企業会計 20億9110万円

合計で       62億9810万円

前年度と比較しますと

一般会計では4.7パーセントの増となりました。

特別会計につきましては、令和6年度から公営企業会計に移行する農業集落排水事業と浄化槽事業を除いた国民健康保険特別会計等3会計で1.1パーセントの増、公営企業会計の下水道事業会計につきましては、移行初年度であることから前年度比はございません。

3.重点的取組事項(6本の柱)

ここで、第5次総合計画の施策体系に沿って、重点的取組事項をご説明いたします。

(1)「ひとが自然と共生する快適なまちづくり」基盤の整備

はじめに、「ひとが自然と共生する快適なまちづくり」基盤の整備では、まず、まちづくりの一歩として公園整備事業を開始します。子どもからお年寄りまで、多世代の町民交流の場となる「あたらしい拠点」として、旧昭栄中学校の跡地を活用して、町民の憩いの広場を整備するもので、新年度はその基本設計にとりかかります。

昨年秋に町民を対象としたワークショップを二度開催し、参加者からいただいた様々なご意見を参考に、今後具体化に向けて進めてまいります。

次に、道路事業におきまして、国の社会資本整備総合交付金等を活用し、橋梁長寿命化修繕事業や町道3033号線の道路改良事業等を継続して進めてまいります。特に新年度は、広域最終処分場関連事業で、町道1153号線の改良事業も本格的に始まります。令和9年度の事業完了に向け、広域事業と調整を図りつつ推進してまいります。

本町の動脈ともいえる県道関係では、圏央道とのさまざまな相乗効果などはもちろんのこと、近年増加している大型車の円滑な通行や歩行者の安全確保など、地域の皆様の安心安全が図られるものであり、最優先の位置づけで県に対して要望してまいります。

特に主要地方道市原茂原線針ヶ谷地先局部改良事業など、継続中事業の早期完成に向けて関係機関との調整に尽力してまいります。

公共交通の確保では、今年度も路線バスの利用促進と路線の維持に努めてまいります。高齢者の外出支援、路線バス利用者支援として、学生及び65歳以上の方を対象とした定期、または回数券の半額助成を継続してまいります。

交通利便性の問題につきましては、町の最重要課題と捉えており、現状、バス回数券とタクシー券の助成事業を併せて実施しています。将来的な財政負担等も勘案しながら、本町の地勢・特性に見合った、あらたな公共交通について、令和6年度中に事業制度をまとめ、令和7年度からのスタートに向けて準備を進めてまいります。

一宮川流域治水では、河道改修や調節池等の河川整備を加速化させるとともに、水害に強いまちづくりのため、特定都市河川浸水被害対策法を活用することが一宮川流域治水協議会において合意され、令和5年1月に指定公示、同年10月1日に指定されました。町といたしましても、今後、加速する浸水対策重点地域緊急事業に対し、しっかりと千葉県と協働の体制をとってまいります。

地籍調査事業については、事業開始から13年目を迎えます。現地での境界立会い業務は一昨年で町内全域を終了し、立会い成果の確認や法務局への申請など、最終的な登記完了まではまだ数年を要します。早期の完全完了に向けて一層推進してまいります。

 

(2)「ひとが健康で支えあう安心なまちづくり」保健・福祉の充実

次に、「ひとが健康で支えあう安心なまちづくり」保健・福祉の充実では、まず、新たに帯状疱疹の予防接種を希望する方に対し、予防接種に要する費用の一部助成を新年度から開始します。予防には「ワクチン接種」が有効な方法の一つであることが知られており、50歳以上の町民を対象に令和6年4月1日以降、国内で承認されている2種類のワクチンのどちらかを接種した場合を対象とし、費用の半額相当を1人1回に限り助成するものです。

接種を希望される方への接種費用の負担を一部軽減することにより、帯状疱疹発症と重症化を予防する対策として、町民の健康維持に役立つ事業としてまいります。

次に、胃がんのリスク要因である「ピロリ菌」感染の早期発見・早期治療を目的として、新たに「ピロリ菌抗体検査費用の一部助成」を新年度から開始します。

これは、町の特定健診の集団及び個別受診の際に同時に実施する抗体検査費用が対象になります。1人1回に限り、40歳以上の方全員を対象とし、希望する方が500円で検査を受けられることとなります。さらに国民健康保険に加入している30歳から39歳の若年層にも範囲を広げ、若い世代の健診受診率の向上及び胃がんリスクの低減を図るなど本町の健康事業の一つとして推進してまいります。

その他、先ほど触れました「子育て支援金事業」「介護職員初任者研修事業」「健康ポイント事業」「女性の健康サポート事業」「介護保険事業」そして「高齢者等外出支援利用タクシー助成事業」など各種事業を切れ目なく継続して実施し、保健福祉の充実を図ってまいります。

 

(3)「ひとが生き生きと躍動する多彩なまちづくり」教育・文化の充実

次に「ひとが生き生きと躍動する多彩なまちづくり」教育文化の充実では、まず、進行する少子化や人口減少に伴う今後の町内小学校2校の見通しについて、「長柄町小学校のあり方検討委員会」において現在協議も進んでおり、次回からは具体的な方向性についての検討が始まります。今後も保護者・地域・関係機関などの意向を踏まえて、検討委員会の中で有益な話し合いを進めてまいります。

学校施設の改修事業では、長柄中学校において、昨年度整備済みの普通教室のLED化に引き続き、特別教室のLED化を行い、子どもたちの学習環境の整備充実と光熱費の経費削減に努めてまいります。

また、昨年度から開始した「休日の部活動地域移行」について、長柄中学校吹奏楽部にて本年も引き続き実施してまいります。   

加えて、4月から開始する、コミュニティ・スクールでは、「地域と共にある学校づくり」をめざし、町内小中学校すべてにおいて学校運営協議会を設置し、年間3回、会議を開催し、地域と学校で子どもたちを育ててまいります。

未来を見据えたICT教育の推進は、町内の小・中学校の児童生徒一人ひとりに配備したタブレット端末と併せ、各教室に設置した大型電子黒板を活用した授業が日常的に行われています。今後も時代の要請に乗り遅れることのないよう教育環境の整備に努めてまいります。

コロナ禍で「国際交流派遣事業」が4年続けて中止となりましたが、一昨年度から実施している「国際交流語学研修事業」を本年度も開催いたしました。千葉大学と連携し、海外からの留学生9名、スペイン・台湾・中国・メキシコ・シンガポール・ポルトガル・イギリス・ナイジェリア・グアテマラと日本人の千葉大学生10名および教員2名による授業が行われました。

それぞれの国の言語や文化等をわかりやすく伝えていただき、実施後の生徒から、「勉強になった」、「楽しかった」との意見が多く得られました。3年間の実績と評価から「長柄町独自の授業の一つ」となった本事業は、新年度においても包括連携協定を締結している千葉大学との連携により一層の充実が図られることを期待します。

新公民館は、駐車場をはじめとした外構工事も完了し、おかげさまで昨年6月にグランドオープンをすることができました。図書スペースの高い天井と自然光を取り込んだ造りは、「開放的で落ち着いた空間」と利用者から好評をいただいております。

本町の生涯学習の拠点である公民館が、より多くの皆様に安心してご利用いただき、町民同士の交流や地域の絆を深める場となるよう、より一層サービスの充実を図ってまいります。

スポーツ・レクリエーションの推進では、昨年5年ぶりに、第60回の記念大会となる長柄町一周駅伝大会を開催いたしました。令和6年度は今年度以上に参加チーム数を増やし開催できるよう期待しております。

最後に、冒頭にも触れました「給食費の無償化事業」ですが、保護者の経済的負担を軽減することを目的として、新年度も引き続き子育て支援策の一つとして無償化を継続してまいります。

内容といたしましては、こども園と小学校・中学校の園児・児童・生徒分の給食費を無償とするものとし、来年度対象者数は合わせて404名を見込むものです。

 

(4)「ひとが清らかにうるおう美しく安全なまちづくり」生活環境の整備

次に、「ひとが清らかにうるおう美しく安全なまちづくり」生活環境の整備では、まず、町営住宅の維持事業として、これまで屋根や外壁の塗装事業、また浴室のユニットバス化などを行ってまいりましたが、これに続き、本年度から日吉団地鴇谷住宅のトイレの洋式化に係る設計を終え、来年度国の補助金を活用し、工事を行うものです。事業戸数は60戸で、令和6年度で完了する見込みです。

また、人口減少対策、若い世代の移住定住策の一つとして、新たに宅地分譲事業を行います。場所は、旧昭栄中学校跡地の一部で、現段階ではこども園の西側を予定しています。来年度設計を行い、工事及び分譲は令和7年度を予定しています。なお、予定分譲数は13区画前後となる見込みです。

移住定住推進事業は、これまでと変わらず空き家・空き地バンクの運営やSNS・ホームページ等を活用した情報発信、移住者及び移住希望者の相談、都市部でのプロモーション活動等、移住定住に資するコーディネートを継続して行ってまいります。

なお、町の防災行政無線の操作卓更新事業は今年度完了いたします。千葉県の防災行政無線につきましては、今年度の更新を予定していたものの、機器の納入の遅れなどから、令和6年度に改めて実施することとなり、その旨の通知とともに新年度内での負担金の予算措置といたします。

 

(5)「ひとがにぎわいを創る活発なまちづくり」産業の振興

次に、「ひとがにぎわいを創る活発なまちづくり」産業の振興では、まず茂原長柄スマートインターチェンジ周辺への産業誘導に向けて、来年度、産業用地適地調査を実施します。初年度は、企業ニーズの把握をはじめ、事業化の可能性の検証を行う予定です。この事業は千葉県と市町村が連携・協力して、産業の受け皿づくりを進める取組の中の一つで、後に、開発手段の具体化など、3か年で段階的に進めるスキームとなっています。企業の立地は、単に税収面のみならず、町民の働く場の創出や町全体の活性化など様々期待されます。2年後の圏央道県内全線開通の機会をとらえて、ぜひとも一歩前進したいと強く考えております。

次に、一昨年5月の農業経営基盤強化促進法の改正により、5年後、10年後の農地の担い手や農地利用の姿を明確化する「地域計画」の策定が義務付けられ、農地利用の将来図となる「目標地図」の明確化が必要となりました。今年度から、一部地域での話し合いに基づく地域計画の策定が始まりましたが、新年度においては、全地域での計画策定に向け取り組んでまいります。

昨年、新規事業として開始した森林整備事業は、2年目を迎えます。これまで事業として優先度の低かった里山整備ですが、本事業を継続していくことにより、森林・里山の再生が町全体に広がり、「美しいふるさとづくり」へと展開していくことを期待します。

次にお米についてですが、稲作が中心である本町においては、食の多様化や人口減少などにより、コメの需要が減少し、米価が下落しているこの状況は、お一人おひとりの農業者にとって大変な問題であることを改めて触れなくてはいけないと思っています。

省力化も高収益化ももちろん大切なことですが、中山間地域といわれる谷津田で耕作する我が長柄町では、その恩恵は多く望めないことは明らかといわざるを得ません。ではどうしたら、この町の「おいしいお米」を生業として維持継続できるのか。今こそ、そこに注力しなければならないと思うところです。

では何ができるのか。何が有効か。

私は「コメの高付加価値化」「ブランド化」に向けて、他の自治体などの先例も参考に、遅ればせながら調査研究を本格的に始めたいと考えています。

たとえば、米コンテストに参加し、高評価を目指すなど、意欲のある個人や団体又は法人に対して、販売強化に対するブランディングを支援し、高価格販売につなげ、結果として、稲作農家の所得向上が図れるなどが考えられます。

これは、新年度においては予算を伴うものではありませんが、「ゼロ予算事業」として取組を開始します。

その他「スマート農業の推進」や「経営規模拡大・低コスト化」また「鳥獣被害防止対策の強化」「多面的機能支払交付金事業や中山間地域直接支払交付金事業の推進」などこれまで同様に事業を継続して進めてまいります。

町の特産品飲料「ながらとガラナ いろはにほへと」は、一昨年4月に製造した6万本をもって一旦事業を休止することとして、今年度分の製造は見送りました。おかげさまでご好評をいただき、館山道市原サービスエリアや「海ほたる」をはじめとした100店舗のほかJR駅構内自動販売機などで販売をしていただき「千葉のまん中 長柄町」を多くの人に知っていただくこと、また話題にしていただくなど「知名度向上」の一定の成果はあったものと評価しています。今後、特産飲料の必要性や費用対効果など客観的事業評価を実施し、そのうえで、事業の継続やあり方についてしっかりと判断してまいります。

 

(6)「ひとが主役となって輝く明朗なまちづくり」地域・行財政の充実

次に、「ひとが主役となって輝く明朗なまちづくり」地域・行財政の充実では、まず本町の「地方創生総合施策」と位置付けられた「長柄町版大学連携型生涯活躍のまち構想」の実現に向け、一つひとつ着実に取り組むことが重要と考えます。

そのためにも、千葉大学との「包括的連携」の体制を今後も継続し、新たな施策の創設や地域課題の解決など、千葉大学の持つ知的資源や人的資源、またそれら知的・人的交流を本町に最大限活かし、町の活性化を図り、魅力を開花させてまいります。

長柄町第5次総合計画は来年度前期基本計画(5か年)の4年目を迎えます。令和8年度起点の後期基本計画の策定に向けて、新年度において町民アンケートなどの基礎調査を実施いたします。

次に、庁舎空調改修事業です。

役場庁舎は行政事務の取扱い、住民サービスの提供、災害時の防災拠点の場として、平成14年に建設されました。

建設から20年余りが経過し、空調設備については可能な限り修理を繰り返してまいりましたが、フロンガスの規制や補修用部品の枯渇などから、修繕の出来ない、停止状態の箇所が庁舎内で増加している状況であり、長柄町地球温暖化対策実行計画に基づき、温室効果ガス排出量の削減を図ることも踏まえ、空調設備の改修を行うものです。

また、空調設備の改修に伴い、建築物の省エネルギー性能を評価するBELS(ベルス)の認証を受け、脱炭素化に向けた取組も行ってまいります。

次に、行財政運営について申し上げます。まず行政組織の見直しですが、現在の健康福祉課を健康保険課と福祉課に再編します。健康保険課には、町民の健康寿命の延伸を目的とした健(検)診事業を行う健康推進係と、国民健康保険・後期高齢者医療保険・介護保険を集約した保険係を置き、町民の健康に関する一体的な支援体制を整えます。また、福祉課には、地域包括支援センターを併設した福祉係と、妊娠から出産、子育てに関する総合的な支援を行う子育て支援係、こども園及び子育て支援センターの運営を行うこども園係を置き、福祉に関する様々な相談にワンストップで対応します。

今後も必要に応じて適宜組織機構の見直しを実施し、行政ニーズの多様化などに対応してまいります。

また、質の高い町民サービスを提供し続けるためには、施策を実行する町役場職員一人ひとりの力が不可欠であります。様々な業務において、町民の声に耳を傾け、常に町民の目線で思考し、職員一人ひとりが自ら考え、学び、行動し、困難な課題に取り組むことができる、そのような人材の育成に努めてまいります。

次に、農業集落排水事業及び浄化槽事業、両特別会計ですが、国からの要請に伴い令和6年度から公営企業会計へと移行します。これまでの官庁会計から、複式簿記を取り入れた公営企業会計に切り替わることにより、保有資産や現金残高、留保財源の現状を含む、正確な経営状況の把握が可能となります。

今後この結果を基に経営戦略の見直しを図ってまいります。

最後に、財政の健全化と財政基盤の確立について申し上げます。

本町では、これまで、メリハリのある財政運営に努めるとともに、将来負担に配慮した持続可能な財政運営の確立を目指して取り組んできた結果、財政の健全性を示す指標である「実質赤字比率」、「連結実質赤字比率」、「実質公債費比率」、「将来負担比率」は全て適正な水準を維持しています。

令和元年の台風・大雨災害に伴い、財政調整基金及び公共施設整備等基金を約5億円取り崩し復旧にあたったところですが、まずは元の次元に戻すべくこの4年間取り組んできたところで、昨年度末、基金残高が多少上振れするなど、被災直後懸念された状況は一旦回避できたものと考えております。

一方で急激な人口減少問題への対応や公共施設やインフラの老朽化対策、DXをはじめとした行政のデジタル化・クラウド化・標準化など推進に伴う投資及び経常費の激増など山積する行政課題を鑑みれば、財政健全化に向けた取組は、未だ道半ばと言わざるを得ません。

また、原油価格や物価の高騰が続く中で、町税についてはコロナ禍前の状況に期待しつつも、不確実性が高く、今後の推移に注視していく必要があります。

ふるさと応援寄附金については、新たなポータルサイトの増設や、体験型返礼品の開発など、返礼品の充実に取り組むとともに、本町を観光などで訪れた方が店舗等で寄附できる、店舗型のふるさと納税の導入に向けた研究を進め、更に本町の魅力を感じながら、その場で返礼品が受け取れる新しい仕組みを検討するなど、多くの皆様に本町を応援したいと思っていただけるよう、取り組んでまいります。

今後とも、財政の健全性に配慮しつつ、事務事業の見直しにより経常的経費の増加を最小限に抑え、限られた財源を効率的かつ効果的に活用していくとともに、中長期的な視野に立った財政運営を行ってまいります。

以上、新年度における重点的取組事項を述べさせていただきました。

4.むすびに

役場庁舎の西の端に立派な梅の木があることはご存じかと思います。

本町の町の木が「梅」であることから、現在の庁舎が建設されたときに植えたものと聞きました。一本の木の中に紅白の花を咲き分けることができる樹種でその名も「思いのまま」というそうです。

遅咲き種といわれるその梅は、今、一年に一度の盛りの時を迎え満開に咲き誇っています。

 

町長就任から1年半となりました。

「慣れてきたころ」と最近、近い人たちに言われますが、惰性やマンネリはまさに大敵。

「日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」

昨日でもない、明日でもない、一生に一度しかない今日という一日を大切に生きるため、昨日よりは今日、今日よりは明日、さらに行いや考えを向上させるように心がけなければならない。

この場に立ち、あらためて、今、自分自身に刻み込みます。

 

長柄町は、都会に近い自然豊かなまちとして、これから発展していく、伸びしろいっぱいの町だと思っています。

町民の皆さまの

「思いのまま」=「心に思うとおり」

“無限の可能性を持つまち長柄町”の未来の発展に向かって、これからも、町政運営の舵取り役として、町民の思いに寄り添いながら、粉骨砕身、まちづくりを力強く進めていくことをここに固くお誓い申し上げます。

議員各位並びに町民の皆様には、より一層のご理解、ご協力をお願い申し上げまして私の施政方針といたします。